こだわりの器― 其の一 皿に宿る物語 ―
投稿をご覧いただきありがとうございます。
今回は、特にこだわりを持って選んだ3つのお皿のうちのひとつについて、ご紹介させていただきます。
器には、それぞれに物語があります。
一見ただの「皿」に見えても、その背景には職人の想い、土地の文化、そして私たちとの出会いがあります。
出会いは石川県・冬の旅路にて
最初にご紹介するのは、360年以上の歴史を誇る石川県の伝統工芸、九谷焼の中でも名匠として知られる山本長左先生による作品、「藍九谷梅鳥図 取皿」です。

2024年の冬。
器を探す旅の途中、ふと足を止めた一軒の店。
何気なく並べられた器の中に、その一枚はありました。
目に入った瞬間、ふと頭に浮かんだのは、その器の上に盛られた料理の姿。
深みのある藍色に、柔らかく波打つような造形。
それは単なる器ではなく、料理そのものの輪郭を際立たせ、素材の命をそっと引き出す力を秘めた一枚。
「料理をのせたい」というより、「この皿の上で料理を生み出したい」と思わせるような出会いでした。
今、この皿は
現在、この取皿は「季節のお刺身」を盛り付ける際に使用しています。
繊細な魚の色味や質感を引き立て、藍色の余白が料理に物語を添えてくれる。
そんな一皿です。

次回は、また別のこだわりの器についてご紹介いたします。