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こだわりの器 ― 其の二 料理の余韻を美しく結ぶ ―

投稿をご覧いただきありがとうございます。
今回も、前回に続きこだわりを持って選んだ3つのお皿のうちのひとつについて、ご紹介させていただきます。

二つ目にご紹介するのは、当店で一番出汁の後にお出しする「いくらの小飯」に使用している、江戸切子の器です。

一番出汁の余韻を受けて

繊細な出汁の一皿がもたらす静かな余韻。
その流れを受け止めつつ、次の一皿でどう心を動かすか。
「いくらの小飯」は、そんな料理と料理の間をつなぐ大切な存在です。

赤を、どう際立たせるか

いくらの艶やかで鮮やかな赤を、どうすれば最も美しく引き立てられるのか。

どう魅せるかを考えたとき、まず思い浮かんだのはガラスの器でした。
数多くの器を手に取りましたが、なかなか納得のいくものには出会えません。
そんな中で出会ったのが、江戸切子でした。

熟練の職人によってひとつひとつ丁寧に彫られた繊細なカット。
色被せの技法で美しい濃淡を楽しませてくれる製品も数多くあります。

しかし、この料理の主役は、あくまでもいくら
その赤をいちばん美しく映し出すために、あえて無色透明の江戸切子を選びました。

視覚から始まる感動を、器で深める

視覚で感じた第一印象は、料理全体の印象を左右します。
だからこそ、一皿の感動を深める器の力は決して小さくありません。

この無色透明の江戸切子は、主張しすぎることなく、
いくらの美しさを引き立て、味覚への期待を高めてくれる存在です。

「器で料理を包み、料理で心を動かす」
そんな想いが詰まった一皿です。